2022.10.12

『どこでも通用する力“CSA”』の高め方とは?①~考え方・能力編~

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キャリアセレクタビリティを高めるためにはどうすれば良いのか。当財団では、CSA を高めるために必要な3 つの観点を「考え方 × 能力 × 環境」という方程式で整理しています。

図1:CSA を高めるために必要な3つの観点の方程式

身につけるべき「考え方」と「能力」を理解する。日々の業務や自己研鑽を 通じて意識的にトレーニングする。そして、自らの成長を促す環境に身を置く。これが CSA 向上に繋がります。

最も重要なのは、しかるべき「考え方」を身につけること。「能力」の向上ではありません。どんなに能力が高くても、考え方が間違っていれば、成果につながらないからです。

具体的に、どのような考え方・能力を身につけ、どのような環境を選ぶべきなのか。ここからは参考として、当財団でも使っている「考え方」と「能力」の分類を紹介します。

図2:「考え方」と「能力」の分類

【考え方】

「CSA」の中で最も大切にしている「考え方」は7つあります。「心を強める、心を広める、心を高める」の「3つの心」に整理した6 つの考え方。その全てを成し遂げるために必要な考え方「Enjoy-Thinking」を加え、7つの考え方にしました。

■心を強める

後述する「心を広める」「心を高める」を実践するためには、まず土台となる心の活力の強化が大切です。現状に満足することなく、常に向上心を持って自己の変革に挑む。チャレンジングな目標を掲げ、その達成に強くこだわる。これを「心を強める」と表現しています。ビジネスは厳しい競争の世界。優れた成果を出すには、強い心が不可欠。これがなければ、何も成し遂げることはできません。

■心を広める

創造性を高めるためには「心を広める」ことが必要です。既成概念に縛られず、多様な文化・思想・学説・理論などを積極的に受け入れる。自分だけでなく、所属組織や顧客の変革に積極的に取り組む。こうした考え方を身につけることを「心を広める」と表現しています。幅広い知見を基に、さまざまな課題に対して改善・革新のアイデアを考え抜く。こうした日々の取り組みが、創造性に繋がります。

■心を高める

人間性を高め、より社会に必要とされる存在になるための考え方です。自分だけでなく、他者の幸せや社会の利益に配慮し、意識的に利他的な行動をとる。まだ社会的に問題とされていない事象であっても主観的に問題として捉え、自分なりの主義主張を発信する。こうした社会性の強い考え方を身につけることを「心を高める」と表現しています。周りの人に役立つ存在になる。仕事を通じて世の中をより良く変えていく。仕事を通じて人間性を高めることはきわめて重要です。

■Enjoy-Thinking

「心を強める•広める•高める」の全てを実践するプロセスは大変な困難を伴います。それを乗り越えるために有効な考え方です。日々の仕事を面白くしたり、楽しむ工夫を忘れない。目標達成への道のりで立ちはだかる、障害や壁そのものを楽しもうとする。この考え方を「エンジョイ- シンキング」と表現しています。ビジネスの世界でぶつかる壁を何度も乗り越え、自らを成長させていく。そのために「苦難をも楽しむ心」は大きな助けになります。

【能力】

どんな環境でも普遍的に活用できるヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルを細分化し、4 つの中分類にまとめています。対人関係力・発想力・論理思考力・組織貢献力の4 つです。

■対人関係力

人との関わりの中で必要になるスキル。感じの良さを演出する力、お互いの理解を深めるために「自分のキモチを率直に伝える力」と「相手話を傾聴する力」、他者に気持ちよく協力してもらう力、相手のために耳の痛いことまで指摘・進言する力などで構成されます。

■発想力

様々なアイデアを「考えつく」ためのスキル。拡散思考とも表現します。多様なジャンルに興味を持ち、発想のためのインプットをする。問題点を見つける。改善策を考え出す。新しいアイデアを生み出す。これからの時代、ますます重要になるスキルです。

■論理思考力

アイデアを形にしたり、具体的な商品やサービスに落とし込むために不可欠なスキル。収束思考とも表現しています。フレームワークを用いて問題を分析する力、仮説を立てて検証する力、自分のノウハウを他者にも使えるように一般化する力、相手が納得できるような形で説明ができる論理的な表現力、の4つで構成されます。

■組織貢献力

企業の組織と事業運営に貢献するために欠かせないスキルです。現場情報の報告などで経営層の思考・判断をサポートする「意志決定支援力」。より良い企業理念の改善案を出し、浸透させていく力。部下の性格や能力を把握したうえで適切なマネジメントを行なう力。組織におけるノウハウの標準化や仕組み化を行なう力。組織の目標を達成するために、様々な経営資源を有効に使う力。新しい事業を創り、組織化する力。より経営に近い、総合的な能力です。

次回のコラムでは『CSA を高める職場環境』について紹介していきます。